アラキ ラボ
脳卒中の記録
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  (21)心房細動

 昨年(2004)8月のある日から、突然、それまで60-70であった心拍数が、急に80-90にはねあがった。これはただ事ではないと考えて、近くの病院の循環器科へ行った話しは前に書いた。その状況はその後も変わらず、月平均の心拍数が80台に上がり、しかも毎月上昇する傾向があり非常に気になっていた。しかも脈拍がかなり乱れていることが分った。

 そこで4月に入り、大阪・千里の国立循環器病センターに対抗して関東の循環器病・専門病院としてつくられた、S記念病院へ診察を受けに行った。その結果、率直にいって一流の病院と普通の病院とはこんなにも違うものか!と驚嘆させられることになった。
 
 そこではまず医師の診察を受ける前に、看護士さんから詳細な問診を受ける。それから心電図とレントゲンをとられる。それらのデータは直にオンラインで医師のコンピュータの端末に入力されており、医師から診察を受ける段階では患者は何も言う必要がない。
 さらに私が作成した血圧、脈搏に関する時系列データも、事前に医師の手元に送られていた。

 医師は、心電図やレントゲン、事前データが映し出されるコンピュータの画面を見ながら、詳細に問題点を私に説明してくれた。私は、この病気になってから他の病院でなんどもいろいろな検査を受けたが、医師から直接このような詳細な説明を受けたことは、全くはじめてである
 いままでは、情報はすべて医師側が一方的にとるだけであり、その結果について患者に対する説明など全くないままで、薬だけが処方されるのが普通であった。
 一流の病院や一流の医師は、医療のやり方がこれほどに違うものかと心から感嘆した。

 私に対する医師の所見は「心房細動」であった。心房細動とは、脈拍の間隔がバラバラになる不整脈(絶対不整脈)の一種であり、高齢者の不整脈によく見られるものである。心房細動の自覚症状は動悸であるが、まったく本人は気づかずに検診などではじめてみつかることも多い。私の場合も、自覚症状はあまりなかった。
 この病気の危険なことは、心房という心臓の小部屋が小刻みに震えることから、心臓内部に血流がよどみ、血のかたまりができやすくなる。そしてそれが脳梗塞などの動脈塞栓を引き起こす原因となることであるそのため、脳梗塞の原因の1/3を心房細動が占めるとも言われている。さらに私のような脳梗塞の経験者は、この病気により多発性脳梗塞になる危険性が高くなるといわれている。
 私は今まで血圧にばかり気を取られて、脈搏の変動にはあまり注意を払ってこなかった。そこで過去にさかのぼって、血圧と心拍数の時系列データ(月平均)を調べてみた。その結果は、図表-1,2,3のようになる。


図表-1 血圧(高)の推移


図表-2 血圧(低)の推移


図表-3 心拍数の推移

 図表-1,2,3は、ともに季節変動などを含めて、単純に時系列的な推移を眺めたものである。図表-1,2の血圧の推移においては、冬場の上昇は見られるものの傾向的に血圧が低下している状況が見られる。
 一方、心拍数においては冬場の上昇はみられる上に、むしろ平均値が上昇しているように見える。

 心拍数は通常は50-100であり、それより下は徐脈、それより上は頻脈という。私の場合、平均値がその範囲の内側にあるが、ここ4-5年間、徐脈性不整脈と頻脈性不整脈の間を彷徨ってきたように私には思われる。
 図表-3からみると、2001年10月に脳卒中を発症したときは、既に頻脈性不整脈の段階にあったことが多分に推測される。そして今、同じ頻脈性不整脈の段階に入っているわけであり、よほど注意が必要であることになる。
 この闘病記に記録されている脳卒中の再発が懸念された時期を振りかえってみると次のようになる。
(1)2002年6月―脳卒中の再発?を思わせる強いストレスで再入院、再発ではなく1週間で退院。(これは徐脈から頻脈への転換期?)
(2)2002年11月―異常なストレスを感じる。(頻脈の上昇期?)
(3)2002年12月―車でエコノミー・クラス症候群のようになる。(頻脈の上昇期?)
(4)2004年2月―眼底出血になる。(頻脈から徐脈への転換期?)
 このように見てくると、異常は脈搏数の変極点で起こっているように見える。すると2005年の2月にも頻脈の変極点が見られる。ここではどうであったのか?

 今年の2月、私の体にどのような変調があったかを思い出してみた。実は私は2月には3回も風邪をひき、殆ど寝込んでいた大変な月であった。この段階で脳卒中が再発していないのは、血圧が低下していたことにあったのではないかと考えられる。

 そのすぐ後の4月に専門の医師の診断を受けたことは、非常に良かったと思う。その専門病院では、直ぐに薬餌治療にかからず、1週間後に更にエコー検査とホルター心電計による、24時間の心電図による検査を行なった。
 不整脈の原因である心臓疾患の状況を調べるためである。その上で、5月に治療が開始される予定である。 





 
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