アラキ ラボ
脳卒中の記録
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  (13)初めての冬
★早朝高血圧
 2002年11月に、私の闘病は2年目に入った。去年の冬は病院にいたため、自宅では初めての冬を迎えることになる。その冬は健康なときに迎えたそれとは、いろいろな点で全く異なることが分かってきた。

 まず11月に入った途端に、朝の血圧が170-100を記録し始めて驚いた。それはここ何ヶ月の間、観測されなかった高い数値である。1年前に発症した頃に似た要注意の季節が来たことを痛感した。

 そこで朝起きる時には部屋を暖めるとか、急に寒いところへ出ないようにするとか、いろいろ寒さに向っての対策をとった。また暫くして体が寒さに慣れてきたこともあり、2-3日すると150-90に下がってきた。それでも夏に比べると血圧はかなり高い。

 秋から冬にかけて、夜中から早朝にかけては、血圧の上昇に特に注意する必要がると思われた。つまり10-11月は、もともと私にとって最も注意を要する季節であったのである。

★寒さのストレス
 同様に11月に入ると、寒さというストレスに対する対策が特に重要であることが分かってきた。健康なときには、むしろ爽やかに感じるほどの寒さが、病気の後では麻痺した手足の筋肉を硬直させて、高さ5センチの縁石から足が出なくなる。歩き始めると、足が硬直して突張り、まるでからくり人形が歩くようになる。

 特に朝は唯でも足の筋肉が硬直している上に、寒さが加わるともう歩くこと自体が大変になる。とうとう自信をもって歩けた私道の中や、Angeの中の歩行も困難になってしまった。来年の春までどうしたらよいか? 私は困り果てた。

★歩行器の利用
 「窮すれば通ず」とでもいうべきか、足が硬直してストレスが強い時には、車椅子を歩行器に利用したらどうかと考えた。しかし車椅子は人を乗せて押すのは良いが、無人の車椅子を押して歩くのは、杖で歩行するより苦しい。
 実は、車椅子の歩行器への利用は、入院中から何度も試みていた。しかしその都度、失敗してきていた。その理由は、無人の車椅子は押すには軽すぎて、足に力がない脳卒中者は、滑るように走る軽い車椅子に引っ張られてしまい危険なのである。
 私の車椅子は高さが80センチなので、歩くとき体が前屈みになる。そのため、力が車にかかると自然に前に引っ張られて、歩くというより車に引きずられるようになる。そこでそれまで使ってきた車椅子を高さが90センチのものに変えることにした。

 高さが90センチの車椅子になると、下へ押し下げることは難しい。歩行者に主体が移って、普通に歩くと自然に車椅子が前に進む感じになる。車椅子と一緒に歩いていると、丁度、平行棒の中を歩くように1歩1歩足を踏みしめて、安心して歩くことが出来るようになる。このことにより従来、ストレスが大きいために警戒していた舗装道路上の歩行距離が一挙に伸びるようになった。そして足と腰の力も見違えるように強くなってきた。
 
 そこで車椅子から高さ90センチの歩行器へ、転換していくことを考えた。道路上で利用可能な歩行器は、車椅子より重量が軽いため、介護者の手を借りなくても家からの出し入れができる。しかも車椅子よりも歩行の際の安定感もある。そこで舗装道路上の歩行を、出来るかぎり歩行器を利用することにした。このことにより1日の歩行距離が、従来の1日1キロから、一挙に1日1.5-2キロに伸びようとしている。




 
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