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(4)なぜラフドアは滅ぼされたか?

●ライブドア事件とは?
 ▲事件の経過
 ライブドア事件の経過を簡単にまとめてみると、次のようになる。
 事件は、2006年1月16日、突然、ライブドアの本社と堀江社長が、家宅捜索をうけたことから始まった。容疑は、証券取引法違反であり、東京地検は1月23日に代表取締役・堀江貴文、宮内亮治、岡本文人、中村長也の4名を逮捕し、その後に熊谷史人が逮捕された。

 3月13日、証券取引等監視委員会は、2004年9月期の連結決算を粉飾した疑いにより、上記5名を東京地検特捜部に告発した。この告発を受けて東京証券取引所は、ライブドア株およびライブドアマーケティング株の上場廃止を、2006年4月14日に下すことを決定した。

 ▲事件の判決
 東京地裁における裁判は9月から始まり、2007年3月、図表-2のような判決が下りた。 

図表-2 ライブドア事件の東京地裁判決
名前 判決 刑の執行 求刑
堀江貴文 懲役2年6月 実刑 求刑懲役4年
宮内亮治 懲役1年8か月 実刑 求刑懲役2年6か月
中村長也 懲役1年6か月 執行猶予3年  
岡本文人 懲役1年6ヶ月 執行猶予3年  
熊谷史人 懲役1年 執行猶予3年  
       
ライブドア 罰金2億8000万円    
マネーライフ      

 ライブドア事件の逮捕容疑は、証券取引法における偽計(ごまかし)、風説の流布と、有価証券報告書の虚偽記載である。判決では、これらのすべてについて有罪と認められた。

 証券取引法158条に、風説の流布,偽計(ごまかし)の禁止が規定されており、有価証券の募集、売り出し、もしくは売買その他の取引などにおいて、有価証券の変動など相場の変動を目的にした、風説の流布、偽計、暴行、脅迫を禁止している。これに違反した場合の罰則は、3年以下の懲役または300万円以下の罰金、またはこれを併科するとしている。

 また証券取引法168条では、有価証券等に関る文書において、虚偽の文書の作成・頒布の禁止を規定している。「有価証券報告書」は、ここで規定されている、有価証券の相場を記載する最も重要な文書である。この重要な文書に対する虚偽記載は、158条と同じ罰則が適用される。

 風説の流布,偽計(ごまかし)の禁止については、ライブドアの子会社であるライブドアマーケティングの株価をあげるために、すでにライブドアの子会社であったマネーライフを、新しく買収するようによそおって、嘘の発表をして投資家を欺いたとするものである。

 また有価証券報告書の虚偽記載については、2004年9月期決算において、3億円の赤字であったにも拘らず、投資組合を使った不透明な会社の売却益で50億円の黒字に見せて、投資家を欺いたというものである。

 裁判は、基本的に検事側の起訴事実を全面的に受け入れた判決になっており、堀江社長にたいする判決もかなり厳しいものであった。

●ソフトバンクとライブドアの違い
 ソフトバンクとライブドアは、一見、似ているように見えるが、本質的に違う面がある。それが「国策捜査」によりライブドアが滅ぼされた原因であろう。一見、似ている面は、どちらもITがらみで登場して、企業買収により急成長した企業ということである。

 しかしソフトバンクが、かなり多角的な事業展開をしながらも、IT産業を軸として発展しているのに対して、ライブドアの場合には、企業グループの目的は、グループ全体としての時価総額の増大にあり、ITは企業成長の手段に過ぎない。つまりライブドアの出自はIT産業であっても、企業の性格は村上ファンドなどと同じ、投資会社であったと私は思う。

 ライブドアの裁判内容を見ると、現在のベンチャー・ビジネスであれば、何処の会社を取り上げても、あの程度の違法行為は大なり小なりしていることである。

 それにも拘らず、ライブドアが捜査を受けて滅ぼされた理由は、どこでもやっている違法を、極めて効果的に利用して時価総額でグループ全体では1兆円企業に成長したため、その危険性を無視できなくなったことが上げられる。

 今ひとつの理由は、ライブドアを見習うベンチャー企業が続々登場することへの危惧である。今のうちに、なんとかしていかないと、日本の企業秩序は手が付けられないほど乱れるおそれがある。その意味では、ライブドア裁判は、新興企業グループへの警告であり、見せしめであったと思う。日本の企業社会にとって、ライブドアのような企業が続々登場することは「恐怖」である。

 その意味では、ソフトバンクの場合も同じであるが、その忍耐の限界へきたのがライブドアの事件であった、と考えると非常に分かりやすい。






 
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