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  (3)日本のTQCは2000年からISO国際規格に取り込まれた!

 検査は、品質の状態や所定水準への合否を判定するものであり、品質管理とはまったく異なる活動である。
 では「品質管理」とは何か?
 品質管理とは、「品質」を基準にして、「管理」つまりC(現状把握)―A(アクション)―P(計画)−D(実施)の「活動のサイクル」をまわすことである。
 この考え方は、日本のTQCが作り出したものであるが、2000年からISO(国際標準化機構)の品質システムの規格である9000シリーズに取り入れられた。そして現在では立派な国際規格となっている。

 2000年にISO規格の大改定が行われて、日本のTQC(総合的品質管理)はイギリスにおいて見事に規格化され、ISO9001に取り込まれた。
 現在では、世界中の企業はこのISO規格に基づく品質管理を始めている。つまり高度成長を実現した日本のTQCは、世界中の企業が取り組みを始めており、日本の専売特許ではなくなったのが、21世紀の品質管理の現状である。
 表記の検査のデータは、この管理のサイクルの出発点となるC(現状把握)の冒頭に位置づけられるものである。
 
 80年代における建設業のTQC運動では、その出発点となるべきC=建築品質の現状把握が欠如したまま、文化大革命のような大運動が展開された。
 そのため、活動は華々しく壮大であったにも拘らず、日本の建設業の品質管理の発展には、マイナスの貢献の方が大きかった。
 それはまさに中国の文化大革命の日本版であった。

 しかしその後、日本の建設業には、本気になって品質問題を考えさせる機会が2回訪れた。第1回は、1995年の阪神・淡路大震災による予想を超えた建築災害であった。そして第2回目が、今回の構造偽装問題である。
 
 2000年から世界の企業は、ISO規格を利用して、日本のTQCを利用した品質管理を開始している。経済大国を実現した日本のTQCは、いまや日本の専売特許ではなく、世界中の企業の規格となった。
 日本の建設業と行政は、今度の構造偽装問題を契機として、本気になって近代的品質管理に着手しないと、もはや世界の流れから取り残されることになることは必定である。




 
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