アラキ ラボ
日本人と死後世界
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  (6)三界 -欲界・色界・無色界

● 欲界
 「欲界」は、食欲、性欲をもつものの住む世界であり、地獄、餓鬼、畜生、阿修羅、人、天の6つの世界からなる。これを「六道」といい、人間の魂は、死後にこの六道を輪廻転生する。「道」は、世界とか境界を意味する。

● 色界
 「色界」は、欲界の2欲を離れたものの住む世界であり、清浄なすぐれた物質からなる世界である。4つの禅を修めたものが生まれる天といわれる。

● 無色界
 「無色界」は、物質を越えた世界であり、4つの禅 四無色定 を修めたものが生まれる世界であり、この無色界の最高が「有頂天」となる。

(7)六合 -欲界の内容

● 地獄
 欲望にまみれた者の住む世界であり、欲界の最下層をなす。八熱地獄とそれに付属した16の小地獄、および八寒地獄、弧地獄などがある。

● 餓鬼
 常に飢えと渇きに苦しめられている、鬼たちの住む世界である。鬼には、9鬼、36鬼などがある。これらの餓鬼には、人の住む所を住居にするものと、餓鬼の世界にすむものがいる。餓鬼の世界は、閻魔大王の国と、今一つは人間と天の世界の中間にあるという。
 「正法念(処)経」では、「物おしみをし・貪り、嫉み・妬んだものが、餓鬼の世界に墜ちる」という。

● 畜生
 鳥・獣・虫など、すべての動物の住む世界である。愚痴で、恥知らずの人がこの世界に生れ変わる。地獄、餓鬼、畜生の3つを三悪道、三悪趣といい、三塗にあてる。

● 阿修羅
 阿修羅の城は、須弥山の四方の海中にあり四王がいる。いつもさまざまな天によって侵害され、身体をそこない、若くして命を落とす。毎日、昼夜を問わず苦しみがせまり、憂苦が絶えない世界という。

● 人
 人間世界は、不浄、苦しみ、無常の3つの相でみられる。

● 天
 欲界に六欲天、色界に四禅天、無色界に四無色天がある。
 欲界の天を地上に近い方からあげると、(1)四天王天、(2)三十三天、(3)夜摩天、(4)兜率天-都史多縁天、(5)化楽天-楽変化天、(6)他化自在天の6つである。

● 極楽浄土
 そこで極楽浄土は、三界のどこにあるのか?というと、それが必ずしも明解ではない。通常は、天にあると思いがちであるが、とすれば、欲界の天なのか?それとも無色界の有頂天なのか?
 「大無量寿経」をみると、阿弥陀浄土を欲界の第6天である「他化自在天」に比較する箇所が、いくつか登場する。

 たとえば「大無量寿経」のなかに、極楽浄土の宝は「一切世界衆宝の中の精なり。其宝猶し第六天宝のごとし」と記しており、極楽浄土の宝は、第六天に存在する宝と同じくらい美しく立派であると述べている。また、別の箇所では、「処する所の宮殿・衣服・飲食・衆の妙華香・荘厳の具、猶し第六天の自然の物のごとし」と記しており、極楽浄土の物は、第六天に備えられているものと同じだ」とも言っている。

 ここで極楽浄土の文物が、常に第六天のものと比較されていることに注意する必要がある。つまり、極楽浄土は第六天と比較されるものの、天上にはなく、どこか遠い地の果てに設定された浄土なのである。この点、天上の「兜率天」とは全く異なる浄土といえる。

 






 
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