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(4)郵政民営化の発足

●2007年10月1日、郵政民営化のスタート 
 日本郵政公社は、2007年10月1日をもって、次の1独立法人と4民間会社として発足する。そして2017年までに銀行、保険の株式を処分することになる。
  (1) 郵政事業(株) −日本郵政(株)
  (2) 郵便局(株) −窓口ネットワーク会社
  (3) (株)ゆうちょ銀行 −郵便貯金会社
  (4) (株)かんぽ生命保険 −郵便保険会社
  (5) 独立行政法人 郵便貯金・簡易生命保険管理機構 −公社承継法人
 
 これらの会社の概要は、図表-2のようになる。

図表-2 郵政グループの民営化企業の概要
項目 日本郵政(株) 郵政事業(株) 郵便局(株) (株)ゆうちょ (株)かんぽ
事業内容 ○4会社(郵便事業・郵便局・ゆうちょ銀行・かんぽ生命保険)すべての株式を保有する持株会社 ○郵便業務 ○郵便事業(株)のサービスの窓口業務 ○預金サービスと送金・決済サービス(為替取引等) *生命保険業その他法律の規定により生命保険会社が営むことができる事業の準備に関わる事業
○コーポレートセンター機能・監査機能(グループ会社に対する経営管理・経営支援、グループとしての内部統制確保、ゆうちょ銀行・かんぽ生命保険の上場準備支援、グループ会社の資本配分、CSR・広報活動ほか) ○国内物流業務 ○(株)ゆうちょ銀行、(株)かんぽ生命保険の代理店業務 ○資産運用サービス(投資信託の販売等の専門的なコンサルティングサービスの提供) *前号に掲げる事業に附帯し、または関連する事業
○グループ内共通事務の受託、病院の運営等 ○国際物流業務 ○上記以外の各種企業との提携等による新たなサービスの提供 ○新商品・サービスの企画、提供  
設立 2006年1月23日 2007年10月1日 設立予定 2007年10月1日 設立予定 2006年9月1日 2006年9月1日
資本金 1,500億円 ※資本準備金を含めて3,000億円(2006年10月現在)     5,000万円 ※資本準備金を含めて1億円(2006年10月現在) 5,000万円 ※資本準備金を含めて1億円(2006年10月現在)
総資産 8兆7,350億円(民営化時の見込み) 2兆5,530億円(民営化時の見込み) 1兆5,220億円(民営化時の見込み) 226兆9,910億円(民営化時の見込み)  
従業員数 148名(2006年10月現在) ※約3,800名(民営化時の見込み) 約10万6,800名(民営化時の見込み) 約12万5,800名(民営化時の見込み) 10名(2006年10月現在) ※約1万1,400名(民営化時の見込み)  
代表者 代表取締役社長 西川 善文 CEO(最高経営責任者):北村 憲雄 CEO(最高経営責任者):川 茂夫 代表執行役会長:古川 洽次 代表取締役社長 山下泉
所在地 〒105-0001 東京都港区虎ノ門3-1-1 虎の門三丁目ビルディング 本社/〒100-8798 東京都千代田区霞が関1-3-2(現・日本郵政公社本社ビル) 本社/〒100-8798 東京都千代田区霞が関1-3-2(現・日本郵政公社本社ビル) 〒105-0001 東京都港区虎ノ門3-1-1 虎の門三丁目ビルディング 〒105-0001 東京都港区虎ノ門3-1-1 虎の門三丁目ビルディング
(出典)郵政グループのウェブサイトから作表
     
●独立行政法人 郵便貯金・簡易生命保険管理機構(どくりつぎょうせいほうじん ゆうびんちょきん・かんいせいめいほけんかんりきこう)
       ―郵政民営化は成功か? 失敗か?
 
日本郵政公社が、解散時点で保有していた郵便貯金契約および簡易生命保険契約については、この独立行政法人が承継し管理することになった。この法人は、2007年10月1日に設立される。

 この法人は、民営化案の当初、「公社清算法人」とか「公社承継法人」と言う名称で呼ばれていた組織である。民営化前の旧契約と民営化後の契約とでは、郵貯・簡保に対する国による保証の有無等の相違があるため、それぞれの契約を分割した別々の契約勘定で管理するために考案されたものである。初代理事長には総務大臣により、元総務省総務審議官で日本データ通信協会理事長の平井正夫氏が指名された

 なお機構の実務的な運用・管理業務は、株式会社ゆうちょ銀行および株式会社かんぽ生命保険に委託し、通常郵便貯金については、ゆうちょ銀行が直接承継する。

 独立行政法人という組織は、法人のうち、日本の独立行政法人通則法第2条第1項において、次のように規定されている。

「国民生活及び社会経済の安定等の公共上の見地から確実に実施されることが必要な事務及び事業であって、国が自ら主体となって直接に実施する必要のないもののうち、民間の主体にゆだねた場合には必ずしも実施されないおそれがあるもの又は一の主体に独占して行わせることが必要であるものを効率的かつ効果的に行わせることを目的として、この法律及び個別法の定めるところにより設立される法人」


 この規定は、官僚の悪文の模範ともいえる難解な文章である。驚くべき事に、上掲括弧内の長い記述が1つの文章である。そこで分かりやすく分解してみると次のようになる。
 (1) 独立行政法人とは、法律及び個別法、つまり独立行政法人通則の定めにより設立された法人である。
 (2) この法人の設立の目的は、次の4つである。
  a. 国民生活及び社会経済の安定等の公共上の見地から確実に実施されることが必要な事務及び事業であること。
  b. 国が自ら主体となって直接に実施する必要のない事業であること。
  c. 民間の主体にゆだねた場合には必ずしも実施されないおそれがある事業であること。
  d. また民間の一つの主体に独占的に行わせる必要がある場合に、効率的かつ効果的に行わせることを目的として設立する事業であること。

 このような悪文になった理由は、この規定が大変矛盾した事を言おうとしたことから生じていることが、このように法文を分解してみると良く分かる。つまり独立行政法人は、公共のために必要な事業であるのに、国が主体になって行う必要がない事業なのである。それにも拘らず、民間にゆだねた場合には、必ずしも実施されないので、民間にゆだねながら効率的、効果的に実施させるために、国が行う事業の法人なのである。

 つまり独立行政法人は、国営法人なのに国営法人ではないというフシギ法人なのである。ここに「郵政民営化」の本質が凝縮されているといっても過言ではない。従って、図表-2に示した民営化企業が、真に民営化された企業グループに成長していくかどうかは、独立行政法人・郵便貯金・簡易生命保険管理機構の行く末を見ていくしかないであろう。今の段階で、郵政民営化が成功であったのか、失敗であったのか、まだ分からないというのが私の結論である。






 
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